卒業や転勤の多い春は、引越しシーズンとも言われています。生活環境の変化によって初めて家を借りることになった場合、賃貸契約は分からないことだらけでしょう。そこで今回は、物件探しから実際に賃貸に住むまでの流れや期間を詳しく解説していきます。

この記事を書いた人
高橋 恵衣

25年以上文京区在中。保育園はたんぽぽ保育園。小学校は湯島小学校。文京区で長い期間を過ごし、文京区(特に本郷・湯島)に詳しく、本郷三丁目の不動産屋ナミエ・エステートに所属し、専属ライターとして不動産業に携わり、お客様に本郷・湯島の素晴らしさを伝える。

賃貸契約とは

賃貸契約と聞くと難しい言葉に聞こえますが、簡単に言えば家を貸す側と借りる側の約束事をまとめた書類です。賃貸契約書には「誰が誰に物件を貸すのか」「家賃はいくらか」「家を借りる期間と更新時期はいつか」などが書かれています。

詳細に挙げると、以下のような項目です。
・貸主と借主の名前
・借りる家の情報(住所、間取り等)
・家賃や共益日の支払日、支払方法
・契約更新のタイミング
・注意事項や禁止事項
・解約の条件
・損害の責任

これらは事前に伝えたかどうかが曖昧になっては困るため、書類で契約を交わします。署名をするということは、書面の内容に同意をしたということになります。そのため、しっかりと内容を確認することが大切です。

特に事前に聞いていた家賃や共益費と書面が同じか、家で問題が起きた時には誰に連絡をして、費用を誰が負担するのか、どのような禁止事項があるのか等はきちんと理解していないと、トラブルに繋がる可能性もあります。

一般的な不動産屋では、契約前に重要事項の確認が行われ、署名前に契約書を確認する時間を設けてくれます。促されるままに署名をしてしまうのではなく、一度文面を確認した上で契約を結びましょう。

文京区で家を借りるまでの流れ・期間

ここからは、実際に賃貸契約を結んで家を借りるまでの流れを解説します。物件探しから契約までの流れは、以下のような順番で進んでいきます。

1.物件相談(1日~)
2.内見(1日~1ヶ月)
3.住居の申し込み(1日~)
4.入居審査(2日~1週間)
5. 重要事項の確認(1日)
6.賃貸契約(5と同日)
7.引き渡し・引越し(~1ヶ月)

物件探しにかかる時間は人それぞれですが、内見から引き渡しまでスムーズに進んだとしても最低1週間はかかります。物件探しや内見、入居審査に時間がかかった場合は2カ月以上かかることもあるため、賃貸の更新前に引越しを考えている場合は早めの行動が大切です。

不動産へ物件の相談

家を借りたい時に初めに行うことは、物件探しです。今は大手不動産のWebサイトを使って探すこともできますが、地域に根付いた不動産屋にしかない物件情報もあります。

たとえば文京区の本郷三丁目駅付近に住みたい場合は、実際に本郷三丁目にある不動産屋へ相談してみるとWebサイトには載っていない物件を紹介してもらえることもあるでしょう。また、古くから営業している地域の不動産屋は得意としているエリアの物件を多く抱えています。住みたい地域から不動産屋を絞ることも物件探しの1つの方法です。

不動産屋では、まず家賃の予算を聞かれます。それから部屋の間取りや最寄り駅などの希望を相談して、条件に合う物件を探していく形になります。不安な方は、事前にこれらの条件を考えてから不動産屋へ行くとスムーズに物件探しができるでしょう。

特に家の希望がない方でも、月々いくらまでなら無理なく払えるのか考えてから相談すると、物件の絞り込みがしやすくなります。

内見

間取りや写真などで気になる物件があったら、管理している不動産に内見を申し込みます。申し込みから内見までにかかる時間は物件にもよりますが、大体1週間程度と考えておくといいでしょう。まとまった時間が取れない場合は、事前に相談すれば1日に数件の内見をまとめて行うことも可能です。急ぎの場合やまとめて行いたい場合は、不動産屋に相談してみましょう。

現在は外出を控える世間の流れもあって、オンラインで内見が出来る場所も増えてきています。しかし、Web上に掲載している写真だけで部屋を判断するのは危険なため、好きな角度から部屋を見渡せる内見システムを利用するのがおすすめです。

内見では家の間取りや設備のチェックも大切ですが、アパートやマンション周辺の環境も見ておくことが大切です。ゴミ捨て場が荒れていたり、騒音注意の張り紙があったりする場合は、近隣にそのような住民がいると知る目安にもなります。毎日暮らすことになる家なので、気になる点があれば無理に決めずに他を探した方がいいでしょう。

住居の決定

内見も終えて気に入った住居が見つかれば、入居の申し込みを行います。申し込みは内見と同日に行うことも可能で、不動産屋に直接入居の意思を伝えるだけで手続きが始められます。人気物件の場合は入居の意思を示していないと他の方が決めてしまうことがあるため、特に気に入った物件があれば内見終わりに伝えておきましょう。

ただし、内見に行ったからといって、必ず入居しなくてはいけないわけではありません。不動産屋はそれぞれ管理している物件が異なるため、条件に合う物件が見つからなければ他の不動産屋へ行くことも1つの手段です。

入居審査

賃貸は、入居の申し込みをしたからといって誰でも家を借りられるわけではありません。入居には審査があり、安定した収入源があるか等の支払い能力をチェックされます。家賃と年収があまりにもかけ離れている場合は審査に通らないこともあるため、予算を考えることは大切なのです。

入居審査の前には、契約者の収入が証明できる源泉徴収票や住民票の提示を求められる場合があります。特に住民票は役所で平日に取得しなければいけない自治体がほとんどなため、事前に一枚用意しておくと安心です。

また、この時「保証人」についても考えておく必要があります。保証人とは、契約者が家賃を支払えなくなった時に代わりに支払いを行う人のことです。一般的には親族等に連帯保証人をお願いするケースと、保証会社に依頼するケースがあります。

保証会社とは契約料を支払う代わりに、家賃支払いを代行する会社です。事情があって連帯保証人がいない場合や、不動産会社の指定で利用する場合があります。

重要事項の確認

入居審査が通ったら、いよいよ賃貸契約を結んで入居の準備です。契約前には重要事項の説明が行われるため、一度不動産屋を訪れる必要があります。

重要事項の説明では、物件ごとのルールや契約の詳細確認が行われます。事務作業として聞き流してしまうと生活を始めてから困ることもあるので、注意しましょう。特に契約書の「特約」の部分には、物件ごとの特別な条件が書かれていることがあります。思わぬ出費を発生させないためにも、よく読んでおくことが大切です。また、分からない部分は質問をして疑問を解消しておくと、安心して契約を結ぶことができます。

賃貸契約を結ぶ

重要事項の説明を受けて問題がなければ、賃貸契約の手続きに進みます。契約手続きには初期費用や契約者の住民票、身分証明書、連帯保証人の承諾書などが必要です。契約する会社によっても必要書類は異なるため、事前に確認しておくとスムーズに進めることができます。

物件の引き渡し、引っ越し

すべての手続きが完了したら、鍵を受け取って不動産会社とのやり取りは終了です。住んでいる家から荷物を運びこみ、生活を始めましょう。

また、賃貸は家の契約をして完了ではなく、生活を始めるための手続きも必要です。具体的に行う手続きには、以下のようなものがあります。

・住んでいる賃貸の退去手続き全般
・電気、ガス、水道の開始連絡
・Wi-Fiの申し込み
・区役所で転出、転入手続き
・郵便局への転居、転送手続き
・運転免許証の住所変更

引越し後はなにかと手続きが多いため、区役所等が開いている平日にお休みを取って1日で終わらせると負担を減らすことができます。電気・ガス・水道はインターネットで契約手続きができるため物件が決まり次第早めにネットからの申し込みをお勧めします。

賃貸に関する注意点

物件を探す時や賃貸契約前には、注意すべきポイントがいくつもあります。賃貸契約の流れの中でもいくつか取り上げていますが、ここでは確認しておくと誤った賃貸契約やトラブルを防ぐことができるポイントを紹介します。

禁止事項を確認する

ペット禁止や室内喫煙の禁止など、賃貸にはそれぞれに決められた禁止事項があります。特にタバコは壁紙が匂いを吸収したり、黄ばみの原因にもなります。もし喫煙不可の物件であることを知らずに契約をして喫煙していた場合、退去時に壁紙の交換代や消臭費用を請求されることもあるでしょう。

賃貸契約のトラブルは、退去時に起こりがちです。多額の出費を防ぐためにも、物件探しの時点で禁止事項は確認しておきましょう。

引越し前に賃貸を確認

契約が完了して鍵をもらった後は、荷物を運びこむ前に物件の再確認をすることが大切です。

賃貸は様々な人が住んでいた家なので、壁や床に前の住人がつけた傷が残っている場合があります。そのような部分は写真を撮り、住みはじめる前からついていた傷である証拠を取っておきましょう。退去時に自分がつけた傷でないことが証明できれば、トラブルを防ぐことができます。

また、窓の寸法や照明の有無を改めて確認しておけばカーテンや照明器具を用意できるため、引越し後に買い出しへ行く必要がなくなります。

有事の際の連絡先を確認

たとえば水まわりのトラブルが起きた場合、契約者本人が修理業者に依頼して直してもらうケースと、管理会社に連絡をして直してもらうケースがあります。

管理会社経由で修理してもらえることを知らずに自分で修理してしまうと、自費修理になってしまいます。契約者からすれば損をするだけなので、家の設備に関する問題が起きた時の責任や連絡先を把握しておくことは大切です。

他にも給湯器やエアコンの故障、照明の不具合など、管理会社が保証してくれる範囲は賃貸契約によって様々です。簡易的なトラブルを解決するサービスがついているケースもあるので、なにか起きた時の連絡先や修理を負担する部分は確認しておきましょう。

まとめ

今回は、賃貸契約を結ぶまでの流れや賃貸契約にかかる期間について解説してきました。初めて引越しをする場合、賃貸への期待や新しい生活への理想も高くなりがちです。すべてが理想的な物件を探すことは難しいかもしれませんが、最も重視したいポイントに絞って物件を探すと、満足度の高い家と巡り合えることもあります。賃貸不動産屋は物件探しのプロなので、引越しを考えている場合は相談してみてはいかがでしょうか。

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